アンドリュー・シリル+ビル・マッケンリー『Proximity』(Sunnyside、2014年)を聴く。
Andrew Cyrille (ds)
Bill McHenry (ts)
激しいふたりの激しい応酬を期待すると肩すかしに遭ってしまう。どちらかと言えば、リラックスして自分を出して相手に受けとめてもらったような演奏である(マッケンリーが、シリルに)。
演奏は2014年の11月。同年の6月にNYのヴィレッジ・ヴァンガードでふたりの共演を観た(ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard)。そのときのマッケンリーは、シリルという大レジェンドを迎えて、ファンそのもののような歓びを隠すことがなかった。文字通り「レジェンド」と評し、MCで、「シリルの最初の吹込みは、コールマン・ホーキンスと、なんだぞ。それからセシル・テイラーとの共演・・・自分は『Conquistador』が一番好きだな。ジミー・ライオンズとのデュオも素晴らしい」と、自分名義のライヴとは思えない様子なのだった。
ここでもその延長としか思えない雰囲気である。苛烈だったり過激だったりすることの少ないマッケンリーを物足りなく感じてしまうことは無くもないのだが(本盤に限らず)、それでも、かれのテナーの音色は気持ちが良い。そしてもちろん、武道の達人が見惚れてしまう演武を披露するかのようなシリルのドラムス。
●アンドリュー・シリル
トリオ3@Village Vanguard(2015年)
アンドリュー・シリル『The Declaration of Musical Independence』(2014年)
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard(2014年)
ベン・モンダー『Amorphae』(2010、13年)
トリオ3+ジェイソン・モラン『Refraction - Breakin' Glass』(2012年)
アンドリュー・シリル『Duology』(2011年)
US FREE 『Fish Stories』(2006年)
アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』(2005年)
ビリー・バング+サン・ラ『A Tribute to Stuff Smith』(1992年)
アンドリュー・シリル『Special People』(1980年)
アンドリュー・シリル『What About?』(1969年)
●ビル・マッケンリー
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard(2014年)
US FREE 『Fish Stories』(2006年)
ビル・マッケンリー『Ghosts of the Sun』(2006年)