トビー・フーパー『スペースバンパイア』(1985年)を観る。
死ぬほど懐かしい。中学生のとき、同級の女の子が映画館に観に行ったと話していて、何でそんなヘンなことをするのだろうと思った。その後テレビ放送で鑑賞して合点がいった。その子はエロ物が好きなのだった。
それはともかく。淀川長治がマチルダ・メイの裸に興奮したという逸話があるが、それ自体はいまやなんということもない。時代は変わるものである。しかし、彼女に抗いようもなく吸い寄せられて、生体エネルギーをすべて吸収され、挙句の果てにミイラになってしまうSFXは、いま観てもなかなか鮮烈である。(日本でSFXという用語が使われはじめたのはこの頃だったと記憶している。)
ロンドンがヴァンパイア化の連鎖で滅びそうになる展開には、素朴すぎて笑ってしまう。できれば、コリン・ウィルソンの原作小説『宇宙ヴァンパイアー』において執拗に書かれたように、生体エネルギーの相互の吸収は人間同士でもなされるのだという設定や、エイリアンが神から堕落した存在であったという設定も活かされればもっとよかったが、しかし、それではせっかくのアホアホさが損なわれたかもしれない。