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リー・コニッツ+ダン・テファー『Decade』

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リー・コニッツ+ダン・テファー『Decade』(Verve、2010, 15, 16年)を聴く。

Lee Konitz (as, ss, voice)
Dan Tepfer (p)

昨年(2017年)、このデュオをNYのJazz Galleryで観た。なかなか感動的だった。コニッツを目の当たりにするのはおよそ20年ぶりだったが、本質が変わっていないこと自体がもう過激で、しかも、毒を吐いていた。その20年前には『Dig Dug Dog』のタイトル曲でスキャットを始めたところだったのだが、その後スキャットが進化しており、フレーズがコニッツのものであることにも驚かされた。

(実は真後ろにシャイ・マエストロが座ってスマホで動画を撮っており、わたしの間抜けな姿も入っていて笑った。隣の老夫婦は、ジャック・デジョネット『Made in Chicago』の収録時ライヴを観ていたんだよ、と。)

ダン・テファーが書いた本盤のライナーによると、実は、テファーがNYに出てきてすぐにマーシャル・ソラールにコニッツを紹介してもらって以来、10年来の付き合いなのだった(だから『Decade』)。55歳の年齢差があるのにテファーに余裕があり、ときにはコニッツをいなしたりするのもそれゆえだろう。音楽的な相性もばっちりであり、コニッツのノリに合わせていったテファーの大きな才覚を感じる。 

コニッツのフレージングも音色も永遠に独自のものであり、まるで悠然となめらかな空中遊泳をしているようだ。3曲ではコニッツひとりで多重録音をしており、にやりとして愉しんでいる姿が目に浮かぶようである。 

●リー・コニッツ
リー・コニッツ『At Sunside 2018』(2018年)
リー・コニッツ『Jazz Festival Saarbrücken 2017』(2017年)
リー・コニッツ+ダン・テファー@The Jazz Gallery(2017年)
リー・コニッツ『Frescalalto』(2015年)
リー・コニッツ+ケニー・ホイーラー『Olden Times - Live at Birdland Neuburg』(1999年)
今井和雄トリオ@なってるハウス、徹の部屋@ポレポレ坐(リー・コニッツ『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』、1999年)
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(1996年) 
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』(1995年)
アルバート・マンゲルスドルフ『A Jazz Tune I Hope』、リー・コニッツとの『Art of the Duo』 (1978、83年) 
アート・ファーマー+リー・コニッツ『Live in Genoa 1981』(1981年)
ギル・エヴァンス+リー・コニッツ『Heroes & Anti-Heroes』(1980年) 
リー・コニッツ『Spirits』(1971年)
リー・コニッツ『Jazz at Storyville』、『In Harvard Square』(1954、55年)


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