コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』
吉祥寺のバサラブックスはなかなか愉快な古書店で、先日、コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイアー』(新潮文庫、原著1976年)を300円で見つけた。トビー・フーパーの映画『スペース・バンパイア』の原作となった小説なのだが、迂闊にも、御大コリン・ウィルソンによるものだとは知らなかった。なお、映画の宣伝のため、カバーだけタイトルが変えられている。...
View Articleジョン・フィルビー『サウジ・アラビア王朝史』
たぶん7回目のサウジアラビア。忙しくて短期の滞在であり、時差ボケも解消されず、ひたすら体調を崩さぬように努めている。そんなわけで、特にフラフラするでもなく、部屋で、ジョン・フィルビー『サウジ・アラビア王朝史』(法政大学出版局、原著1955年)をななめ読み。...
View Article旨いサウジアラビア その4
リヤド。あまり動き回るでもなし、結局同じようなものばかり食べている。 ■ Samurai といいつつ、ファイサリアのフードコート内にある謎の日本料理は試してみたかった。「Samurai」の横に、なぜか「鎧」という漢字が書かれている。メニューには寿司なんかもあるがちょっとその勇気はない。「ヤサイ・イタミ」なるものもある。傷んでどうすんだ。...
View Articleギレルモ・デル・トロ『クリムゾン・ピーク』
飛行機の中で、ギレルモ・デル・トロ『クリムゾン・ピーク』(2015年)を観る。 20世紀初頭のニューヨークにおいて、資産家の娘が、粘土掘りの機械を開発しようとする野心を持った実業家の男に騙され、結婚する。男の実家は英国の古く大きな洋館。かれは人殺しであり、その背後には姉との関係があった。洋館には犠牲者たちの幽霊があらわれた。...
View Article原田眞人『日本のいちばん長い日』
ドバイからの帰国便で、原田眞人『日本のいちばん長い日』(2015年)を観る。日本のポツダム宣言受諾、玉音放送、終戦を不満とする陸軍過激派のクーデター未遂を、主に描いている。...
View Article竹本真雄『熾火/鱗啾』
竹本真雄『熾火/鱗啾』(沖縄タイムス社、2015年)を読む。 「熾火」、「鱗啾」ともに、少年時代のハブとの関わりを回顧した形の小説である。 少年の、行き場を見つけられない呪いと、生への渇望がある。咬まれるだけで向こう側の世界に連れていかれるというハブへの畏怖が、少年の念を引き寄せる。少年の皮膚とハブの皮膚とを通じて、生と死との往来がなされてゆく。
View Article飯島晃『コンボ・ラキアスの音楽帖』
ふと棚にあったことを思い出して、飯島晃『コンボ・ラキアスの音楽帖』(puff up、1990年)を聴いている。 Akira Iijima 飯島晃 (g)Tatsuo Kondo 近藤達郎 (accordion, harmonica)Masami Shinoda 篠田昌已 (ss)Yuriko Mukojima 向島ゆり子 (vln)Kazuto Shimizu 清水一登 (vib)Reichi...
View Articleスティーヴ・エリクソン 音楽と文学を語る @スイッチ・パブリッシング
天才スティーヴ・エリクソンが音楽について語るイヴェントがあり、無理に時間を作って足を運んだ(表参道のスイッチ・パブリッシングにて)。エリクソンが選んだ曲を流し、それについてコメントするという趣向である。話し相手は名翻訳家の柴田元幸さん。 以下、メモ。 * Stardust: Nat King Cole...
View Article村上隆の五百羅漢図展@森美術館
六本木の森美術館に足を運び、「村上隆の五百羅漢図展」を観る。2012年にカタール・ドーハで観たときには(>> リンク)、この巨大な作品を見事に展示しおおせた巨大なハコに感心したのだったが、森美術館も鑑賞しやすい空間を工夫している。しかも、スマホによる撮影とSNS等での私的共有が唆されているなんてすばらしい。日本の旧態依然とした美術館も変わるべきだ。 「宇宙の産声」...
View Articleゲルハルト・リヒターの「Strip」@ワコウ・ワークス・オブ・アート
六本木のワコウ・ワークス・オブ・アートは、ゲルハルト・リヒターを日本に紹介したメイン・プレイヤーだと思っている(昔、初台にあった)。去年(2015年)の個展には残念ながら足を運ぶことができなかったのだが、今、2点が展示してあって、それだけでも嬉しい。...
View Article陳偉江『油麻地』@Zen Foto Gallery
六本木のZen Foto Galleryに足を運び、香港の写真家・陳偉江の写真展『油麻地』を観る。最終日に何とか滑り込むことができてよかった。 何しろ『001-023』に吃驚して以来、プリントを観たかった作家である。そして、その待望のプリントは、印刷してある作品よりもはるかに迫力のあるものだった。...
View Articleマーク・リボーとジョルジォ・ガスリーニのアルバート・アイラー集
アルバート・アイラー曲集を2枚。 ■ マーク・リボー『Spiritual Unity』(Pi Recordings、2004年) Roy Cambell (tp, pocket tp)Henry Grimes (b)Marc Ribot (g)Chad Taylor (ds)...
View Article長嶺幸子『父の手作りの小箱』
長嶺幸子『父の手作りの小箱』(沖縄タイムス社、2016年)を読む。 家族と成長をテーマとした2つの短編小説。 「ベタ」であるようでいて、しかし、読後は歩きながらその物語を反芻してしまう。いまもまたぱらぱらと頁をめくってみては、実は登場人物たちに感情移入している自分を発見したりもしている。ありそうな話をトリッキーにではなく、普通に商店街の路地を歩くように語っているからか。わたしがねじ曲がっている。
View Article黒ひょう『バッドデイ』
黒ひょう『バッドデイ』(沖縄タイムス社、2016年)を読む。 表題作は、主人公の前に図々しく現れた、しかし憎めない老人との珍道中。老人は、沖縄戦ではなればなれになった初恋の女性と逢うために、彼女が入っている老人ホームに足を運ぶ。そこで、突然、沖縄戦の時代が介入してくる。もはや戦争を実感できない世代がせざるを得なくなる「体験」、それは情のつながりに触れることと同じなのだった。...
View Article荒武裕一朗『Time for a Change』
荒武裕一朗『Time for a Change』(2015年)を聴く。 Yuichiro Aratake 荒武裕一朗 (p)Daiki Mishima 三嶋大輝 (b)Tamaya Honda 本田珠也 (ds)Guests:Shinji Hashimoto 橋本信二 (g)Yoshihito P Koizumi 小泉P克人 (b) 冒頭にトリッキーな曲「Blue Rondo A La...
View Articleあわいびと『ひと粒のちから―里景色―』
2年前に観た土田ヒロミさんの写真展『フクシマ2』では、原発事故の被災地である福島を撮った写真のスライドショーとともに、東北の民謡が流されていた。妙に強い印象があって、あとで調べてみると、福島県民謡「相馬二遍返し」であり、美鵬成る駒という唄者の声なのだった。...
View Articleハリス・アイゼンスタット『Old Growth Forest』
ハリス・アイゼンスタット『Old Growth Forest』(clean feed、2015年)を聴く。 Jeb Bishop (tb)Tony Malaby (ts)Jason Roebke (b)Harris Eisenstadt (ds)...
View Article金時鐘講演会「日本と朝鮮のはざまで」
金時鐘さんが『朝鮮と日本に生きる』により大佛次郎賞を受賞し、それを記念した講演会が開かれた(2016/3/12、横浜市開港記念会館)。会場は満員だった。...
View Articleドレ・ホチェヴァー『Collective Effervescence』
ドレ・ホチェヴァー『Collective Effervescence』(clean feed、2014年)を聴く。 Lester St.Louis (cello)Bram De Looze (p)Dre Hocevar (ds)Chris Pitsiokos (sax)Philip White (electronics & signal processing)...
View Articleアンソニー・ブラクストンとテイラー・ホー・バイナムのデュオの映像『Duo (Amherst) 2010』
アンソニー・ブラクストン+テイラー・ホー・バイナム『Duo (Amherst) 2010』(2010年)を観る。 Anthony Braxton (as, sopranino sax, ss, bs)Taylor Ho Bynum (cor, flh, pocket cor, tb, piccolo tp, bass tp) 45分ほどのデュオを2セット。...
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