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村上隆の五百羅漢図展@森美術館

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六本木の森美術館に足を運び、「村上隆の五百羅漢図展」を観る。2012年にカタール・ドーハで観たときには(>> リンク)、この巨大な作品を見事に展示しおおせた巨大なハコに感心したのだったが、森美術館も鑑賞しやすい空間を工夫している。しかも、スマホによる撮影とSNS等での私的共有が唆されているなんてすばらしい。日本の旧態依然とした美術館も変わるべきだ。


「宇宙の産声」

それにしても圧倒される。まずはデカさに圧倒される。

巨大な金色の立体作品「宇宙の産声」は、村上隆にとっての達磨であるという。その近くには、達磨に弟子入りするために自らの腕を切った慧可をモチーフにした絵もある(雪舟の作品が有名)。そういった利用に対するためらいのなさが半端ない。

仏教だけではない。五百羅漢図の中には、狩野一信や伊藤若冲ら江戸の絵師の作品がパクってあり、それらがまったく重々しくなく二次利用され、DOB君なんかの村上隆のキャラと同じフェーズに立っている。デカさ以上に圧倒されるのは、そのキャラ力である。なにを今さら、ウォーホルやリキテンスタインの名を挙げることはない。現代は二次利用とキャラ力と流通の社会である。

村上隆は、『タイムボカン』シリーズにおいて最後に悪者キャラが爆発するときのドクロ雲に、諦念のようなものを見出したのだという。そのニヒリズム的なドクロ雲も、まるで吉原治良の作品のような丸の絵にうじゃうじゃと発生していて、心の中に潜んでいたキャラも発掘されたようで、親近感さえ覚えてしまったのだった。


「五百羅漢図」


この怪獣は、ドーハの展示ではまだ描かれていなかった


「円相:アトランティス」におけるドクロ雲

●参照
ドーハの村上隆展とイスラム芸術博物館
チェルシーのギャラリー村(ルイーズ・ローラーによる村上隆のパクり)
チェルシーのギャラリー村再訪(マーク・グロッチャンには村上隆との共作がある)


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