『けーし風』第95号(2017.7、新沖縄フォーラム刊行会議)の読者会に参加した(2017/7/29、富士見区民館)。参加者は6人。
特集は「新基地建設阻止の展望―結んで拓く」。
辺野古の埋立に関しては、対談における高里鈴代氏の発言がある。ダンプが1日100台規模であり、止める市民の数として200人前後が必要だが足りないのだという現状。
それ以上に気になることは、埋立の技術的な問題である。対談で、山城博治氏が指摘している。大浦湾は岩礁であるとはいえサンゴ礁であり、埋立ても崩れやすい。大型特殊船ポセイドン1号が1か月も大浦湾に滞留したのは海底地盤の調査のためであった。吉川秀樹氏も続ける。1966年のアメリカの調査でもそれは明らかになっており、設計変更が必要な可能性があるが、それを認めるのは知事権限である、と。
なお、今月行われた沖縄戦首都圏の会10周年記念講演「沖縄差別―ハンセン病と基地問題―」においても、技術者の方が、高江のヘリパッド工事だけでなく辺野古にも問題がある可能性を示唆していた。
ここに来て、アメリカがまた辺野古の滑走路は1,800mでは足りず3,000mが必要だと言ってきているとか、条件が満たされなければ普天間は返還されないと稲田前防衛大臣が発言したりだとか、アメリカの意向に変化があるのではないかとの出席者の指摘。その一方で那覇空港の第二滑走路建設。
オスプレイに関しては、高江のヘリパッドに技術的な問題が指摘されてはいるが運用開始され(2017/7/11)、また、海兵隊ではなく空軍の嘉手納基地でも離発着している奇妙な話もあるとのこと。さらに自衛隊も含めて「集団的自衛権の先取り」との見方。
さて、APALAというアメリカの労働者団体の大会(2017/8/16-20、アナハイム)において、オール沖縄が「米軍基地問題分科会」として、また東京からも「国際連帯分科会」として、現在の沖縄の動きについて報告がなされるそうである。アメリカの議員や有識者も出席するとのこと、どのような成果が出てくるのか注目。なお、その報告は2017/11/24に明治大学で行われる予定とのこと。
情報
◎「日本ペンクラブ平和委員会シンポジウム「戦争と文学・沖縄」」(浅田次郎・大城貞俊・川村湊、2017/7/22開催)。沖縄文学の世界性について言及されたとのこと。
◎久米島守備隊住民虐殺事件(1945年)について。『久米島の戦争』(なんよう文庫、2010年)、佐木隆三『沖縄住民虐殺』(新人物往来社、1976年/徳間文庫、1982年)
◎大田昌秀『沖縄鉄血勤皇隊』(高文研、2017年)、最後の著作。
◎新城郁夫・鹿野政直『対談 沖縄を生きるということ』(岩波書店、2017年)
◎宮川徹志『僕は沖縄を取り戻したい 異色の外交官・千葉一夫』(岩波書店、2017年)
◎「八重山びーちゃー通信」第7号(みやら製麺、2017/7/28)。「TERURIN RECORDS」が発足し、第1弾はなんと登川誠仁のラストライヴだとのこと(2017/11/13発売)。
◎佐古忠彦『米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー』(2017年8月~)
◎越川道夫『海辺の生と死』(2017年7月~)
◎東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会 シンポジウム「東アジア地域の平和・共生を沖縄から問う!」(2017/9/9、琉球大学)
●参照
『けーし風』