新宿ゴールデン街の裏窓にて、向島ゆり子ソロ(2016/11/20)。入院中で無理かなと思ったが、休診の日曜ゆえ、行くことができた。
向島ゆり子 (p, vln)
マスターと向島さんを除き、11人で一杯の店内。2人はカウンターの中に入り、3人はずっと立っている。入ると珍しくビートルズが流れていて、向島さんがそれに合わせてピアノを弾いていたりしていた。
しかし、それは気紛れによるものではなく、1曲目は「Fool on the Hill」。この夜の演奏は、亡くなって4年くらいが経つ今井次郎さんに捧げられたものだったのだが、今井さんは自由保育で「3年間くらいひたすら空を見上げて回っていた」、その話を向島さんが思い出したというわけだった。そして、主に、今井さんが病院生活の中で書いた「かわいい」曲が演奏された。「My Blue Heaven」も演った。向島さんはずっとピアノを弾き、最後に、ヴァイオリンで再び「Fool on the Hill」。
淡々とメロディを大事にする演奏、ときに激しくてもその印象は変わらない。弾く人も聴く人もその場に存在することを証明するような音楽だった。
●参照
飯島晃『コンボ・ラキアスの音楽帖』(1990年)
パンゴ『Pungo Waltz』(1980-81年)