ジュリアス・ヘンフィル+ペーター・コヴァルト『Live at Kassiopeia』(No Business Records、1987年)を聴く。
Julius Hemphill (ss, as)
Peter Kowald (b)
1987年、ヴッパータールにおけるライヴの記録2枚組。
最初に、7分前後のジュリアス・ヘンフィルのソロが3本。バップフレーズを吹いていて、ちょっと意外な感がある。しかしどんな旋律を吹こうがヘンフィルのダークな音色は独特のものだ。かれのフォロワーのティム・バーンが爪を立てて粘っこく突き進む猛禽類だとして、ここでのヘンフィルはバーンよりもときに弱く震える。なんだろう、その震えが奇妙な重音となっているように聴こえる。ヘンフィルは決してマッチョな音楽家ではない。
次にペーター・コヴァルトの30分強のソロ。この人のコントラバスは絹のような音だと思っていた。それは強く張った弦をはじくことが主体ではなく、コントラバス全体のバランスを取って鳴らしているからだろうか。ここでもすべての部分を公平に扱い、さまざまな部分から共鳴とノイズが聴こえてくる。
2枚目はデュオ3本。ヘンフィルとコヴァルトとの相性は最高に良い。サックスがコントラバスの音に接近する時間があり、わかっていてもどういうことかと驚かされる。次第にふたりの音が強靭なものとなって高められていく。
●ジュリアス・ヘンフィル
ジュリアス・ヘンフィルのBlack Saintのボックスセット(1977-93年)
映像『Woodstock Jazz Festival '81』(1981年)
●ペーター・コヴァルト
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)(コヴァルトのコントラバスを使った作品)
アシフ・ツアハー+ペーター・コヴァルト+サニー・マレイ『Live at the Fundacio Juan Miro』(2002年)
アシフ・ツアハー+ヒュー・レジン+ペーター・コヴァルト+ハミッド・ドレイク『Open Systems』(2001年)
ペーター・コヴァルト+ローレンス・プティ・ジューヴェ『Off The Road』(2000年)
ラシッド・アリ+ペーター・コヴァルト+アシフ・ツアハー『Deals, Ideas & Ideals』(2000年)
ペーター・コヴァルト+ヴィニー・ゴリア『Mythology』(2000年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、1991、1998年)
ペーター・コヴァルト『Was Da Ist』(1994年)
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(1985年)