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デイヴ・レンピス+ティム・デイジー『Dodecahedron』

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デイヴ・レンピス+トム・デイジー『Dodecahedron』(Aerophonic Records、2017年)を聴く。

Dave Rempis (as, bs)
Tim Daisy (ds)
w/special guests
Jason Adasiewicz (vib)
Jim Baker (p, electronics)
Fred Lonberg-Holm (cello)
Steve Swell (tb)
Katie Young (bassoon/electronics)
Aaron Zarzutzki (electronics)

前半はレンピスとデイジーとのデュオ、後半は曲によって異なるゲストが参加している。散漫な演奏になるかなとも危惧したのだが、結果的にはまったく反対となった。

すなわち、レンピスのアルトとバリトンの表現の幅がゲストによって拡張され、いろいろな側面を見せてくれている。

フレッド・ロンバーグ・ホルムのチェロは分散型ではなく大きな波を作ってはサウンドの位置を励起するのだが、それに対し、レンピスはまるでオーネットのように応じる。ジェイソン・アダシェヴィッツのヴァイブやジム・ベイカーのピアノによる閃光の連続があると、より肉声的なレンピスのサックスが際立つように聴こえる。スティーヴ・スウェルのトロンボーンはのたうつ蛇のような生命力を持ったものであり、レンピスは負けじとふたりで耳の鼓膜が痒くなるような周波数を発する。

エレクトロニクスも面白くて(誰が誰だかわからないのだが)、場合によっては、間合いをはかって近づいてくるというより、容赦なくそこに突如出現する。あるいはサウンドのアトモスフェアの創出に回る。レンピスは相手のエレクトロニクスに応じて、破裂音、叫び、アトモスフェアの重ね合わせ、マルチフォニック、エレクトロニクスへの擬態といったように、時々刻々と攻め方を変える。

ところで最後の曲でスティーヴ・スウェルと遊びながら、レンピスの頭の中には「Corcovado」があったのではないかと思うがどうか。

●デイヴ・レンピス
デイヴ・レンピス『Lattice』(2017年)
GUNWALE『Polynya』(2016年)
レンピス/エイブラムス/ラー+ベイカー『Perihelion』(2015-16年)


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