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マシュー・シップ『Not Bound』

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マシュー・シップ『Not Bound』(fortune、2016年)を聴く。

Matthew Shipp (p)
Daniel Carter (fl, tp, ts, ss, cl)
Michael Bisio (b)
Whit Dickey (ds)

曲単位ではなくアルバム全体での大きな流れがある。これは、「そのような一気通貫の即興演奏」をたまたま仕掛けた結果というよりも大きな意味があるだろう。むしろ、マシュー・シップ、ダニエル・カーター、マイケル・ビシオという音楽家の独特さが積極的に反映された結果のようである。

以前にダニエル・カーターのプレイを観たときに(トッド・ニコルソン+ニューマン・テイラー・ベイカー+ダニエル・カーター@6BC Garden)、蓮見令麻さんが、伴奏のようなユニークなスタイルだと言った。ここでもそうなのであって、カーターはフルート、トランペット、サックス、クラと管を持ち替えながら、音のラインを主導するのではなく、大きな流れに付いたり離れたりして、その流れを染色する。語られることは少ないが、とても面白い多楽器奏者だと思う。

一方、マイケル・ビシオは、憑りつかれたかのように、ベースの絶えざる演奏によって流れを創り出す人である。そしてマシュー・シップのピアノには、いつも、構造に向かう強すぎるほどの意思を感じる。何があろうととにかく構造へと回帰する。

●マシュー・シップ
マシュー・シップ『Piano Song』(2016年)
ジョン・ブッチャー+トマス・レーン+マシュー・シップ『Tangle』(2014年)
マット・ウォレリアン+マシュー・シップ+ハミッド・ドレイク(Jungle)『Live at Okuden』(2012年)
ジョン・ブッチャー+マシュー・シップ『At Oto』(2010年)
DJスプーキー+マシュー・シップの映像(2009年) 


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