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MMM@稲毛Candy

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はっと気がつくと、昼に稲毛のCandyで観たかったライヴがある。そんなわけで慌てて足を運んだ(2018/4/1)。

MMM:
Mizuki Wildenhahn (percussive dance / from Hamburg)
Natsuki Tamura 田村夏樹 (tp, perc)
Satoko Fujii 藤井郷子 (p)
Takashi Itani 井谷享志 (perc)

井谷さんが準備したパーカッションは随分とシンプルである。ご本人曰く、シンバルとカホンだけでも良かったのだけど、と。そのカホンにはバスドラのようにペダルで叩くような仕掛けがある。さてどうなるか。

この日、出演予定だった詩人の三角みず紀さんが体調不良で飛んでくることができず、田村夏樹さんが彼女の詩を朗読した。ご本人だったらどうだったのかはわからないのだが、田村さんのキャラでユーモラスさが付け加わった。

その朗読からはじまった。母、真空管、有る無し。そしてミズキ・ウィルデンハーンさんが踊りはじめる。確かにパーカッシヴでもあり、また、身体の端々にまでぴんと気が張り詰めている。その緊張感がいきなり支配する中、とつぜん、井谷さんの叩きが楔のように入り驚く。やがて田村さんが擦るようなトランペットを吹き、藤井さんが内部奏法から鍵盤へとシフトする。その後の田村さんのトランペットはさすがの輝きである。

ミズキさんは布を巻いて舞い、また詩に戻る。旅、地図、列車。途中で「名前は呼ばないで」とあったように、旅とは匿名性を意味するものでもあったに違いない(「そう、わたしはこれから地図を描く」)。井谷さんはボディパーカッションを見せた。ミズキさんは両足で飛び跳ね、間もなくして、やや鎮まった空気の中で足踏みのひとつひとつを響かせた。田村さんは玩具でさまざまな音を出し、抽象と具象とをつなげてみせた。藤井さんは常にミズキさんを睨み、音楽とこの動きとを有機的につなげてゆく。

ふたたび、ミズキさんが布を巻きひらひらとさせ、ステップを踏む。それはトランペットともパーカッションとも同調しまた離れる。疾走だけではない。誰からともなく、柔軟にぐにゃりと曲がっていくような世界も創出された。そして3人の音楽が力を増してきた。

アンコールでは、藤井さんが主導するようにあるパタンが共有され、そこから発展し、そして見事なカホンの演奏があった。最初から最後まで、ミズキさんの漲る意思が身体の動きとなって現れていた。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●参照
藤井郷子オーケストラ東京@新宿ピットイン(2018年)
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス
(2017年)
This Is It! @なってるハウス(2017年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)
藤井郷子『Kitsune-Bi』、『Bell The Cat!』(1998、2001年)


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