ベルリン。Jazzkeller 69に足を運んだ(2018/2/2)。開場が21時と遅く、1時間ほど1階のAufsturzでビールを飲んで時間をつぶした。
7 of 8:
Andreas Willers (g)
Matthias Schubert (ts)
Florian Bergmann (as, cl, bcl)
Nikolaus Neuser (tp)
Meinrad Kneer (b)
Christian Marien (ds)
ギターのアンドレアス・ヴィラーズがリーダーとなり、テナーのマティアス・シューバートがかなりフィーチャーされている形。
しかし、全員がそれぞれに見せ場を発揮するというのか、個人の演奏家として集団即興に参加し、そのことが役割という構造上のものにとらわれない個々の存在感を際立たせていた。こうして聴くと、たとえばブルースだとか歌の雰囲気だとかブラック・ミュージックの背負うものだとか、そうしたアメリカ的なものから自由なヨーロッパの集団即興なのだった。もちろんICPだってグローブ・ユニティだってコレクティーフだって共通の感覚を強く持っている。
何しろ印象付けられたのは、シューバートのテナーである。何かあざとく野生的な音を出すわけでもないのに、テナーの重たさがそのまま音のフラックスの太さや重さとなり、竜が空中でくねるかのようなサウンドを創り出した。ちょっと驚いた。藤井郷子グループでの演奏歴もある。
また、フローリアン・バーグマンのテクは大したものであり、クラもバスクラもとにかく管を鳴らし切り、一心にグループのサウンドに貢献していた。
バンドサウンド全体は、自発的な個々の働きかけで大きな流れとして生成されつつも、ヴィラーズのゆるやかな指示によって、余裕もユーモアもあって、とても楽しめるものだった。終盤に、ヴィラーズが笑顔を浮かべながら両手で大きな輪を描き、それに合わせて全員(とオーディエンス)が「うおおおお」と唸り、それを2回。そして3回目はヴィラーズが床の当たりで両手をひらひらと揺らしてタメをつくり、また両腕で一周。このわけのわからない笑いもまた、ヨーロッパに違いない。帰路、この笑いの感覚がずっと体内に残り、嬉しかった。
Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4