斎藤文彦『力道山』(岩波新書)は、力道山を巨大なパズルにたとえて「フィクションのような事実の断片の数かずと、事実のようなフィクションの断片の数かずがつねに混在」していたものと書いている。たしかに、増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を読んだあとも、力道山という存在がなんだったのかイメージしきれないまま。本書では、不世出の柔道家・木村政彦にとってプロレスは経済的なものを含めてパーソナルな選択、力道山にとってはメディアとの闘いだったとする。なるほど。
●力道山
増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』
木村政彦 vs. 力道山(1)(1954年)
木村政彦 vs. 力道山(2)(1954年)