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『山城知佳子 リフレーミング』@東京都写真美術館

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東京都写真美術館で『山城知佳子 リフレーミング』展。 この人の《アーサ女》を観てあまりのなまなまなしさに驚いたのは、国立近代美術館の『沖縄・プリズム 1872-2008』展(2008年)だった。シンディ・シャーマンのように女性がなにものかに「なる」表現との共通点も考えたのだけれど、山城さんのそれは異なる。暑さ、眩しさ、痛さ、苦しさを引き受けるためにその場に我が身を置く表現であり、より切実で、身体感覚とともに感情移入せざるを得ないものだった。(顔を無条件に世界に晒すことが倫理だというエマニュエル・レヴィナスの思想のように。) 今回も展示された《アーサ女》からの荒い息遣いが聞こえる部屋で、戦争体験者の語りを引き受ける《あなたの声は私の喉を通った》の前に立つ。他者の声は私の声、身体を通過したうえで共有される記憶。 そしてさらに鮮烈だった作品は、3つの並んだスクリーンに投影される動画作品《土の人》。皮膚的な暑さや痛さから、内部的な土や内奥への移行のように思えた。そこには天からの視線も自分の顔を見つめる視線もあった。2008年にオーストラリアのPICAで観た、ジュリー・ドーリングによるやはり3スクリーンの動画作品《OOTTHEROONGOO (YOUR COUNTRY)》を思い出した。ジュリーもまたアイデンティティをもとめ(アボリジニとしての)、土に接近し、同時に宇宙から見た地球や自身がカメラを見つめる顔をみごとに組み合わせたのだった。 10月10日まで。行ける人は行ったほうがよいです。     ●参照
『けーし風』読者の集い(31) 「生きる技法」としての文化/想像力(2016年)
コザ暴動プロジェクト in 東京(2016年)
沖縄・プリズム1872-2008(2008年)


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